小児歯科とは
小児歯科は、0歳から成長期の子どもたちの歯の健康を守るための診療科目です。成長に伴う歯や口の問題を早期に発見し、適切な治療や予防処置を行うことで、子どもたちが健やかな口腔環境を保つお手伝いをします。特に初めての歯科受診は、子どもにとって大きな経験となり、今後の歯科治療に対する印象にも影響します。
何歳から受診すればいいの
歯が生え始める1歳前後から、小児歯科の受診を始めることが理想的です。この時期は、子どもの前歯が揃い始め、虫歯予防のための習慣づけをスタートする良いタイミングです。歯磨きの方法や食事・おやつの与え方、噛み合わせなどについてのアドバイスも受けられるため、親御さんにとっても大切な情報源となります。虫歯予防だけでなく、歯の成長や口内の健康を総合的にサポートします。
子どもの歯の治療は痛い?
小さな子どもにとって、歯科治療が痛い経験となると、将来にわたって歯科医院に対する恐怖心が生じることがあります。そのため、小児歯科では「痛くない治療」を最優先にしています。痛みを感じにくい部分麻酔を使用することで、できる限りストレスを与えずに治療を行います。また、治療前に丁寧な説明を行い、子どもが安心して治療を受けられるように配慮しています
指しゃぶりが歯並びに与える影響
指しゃぶりは、赤ちゃんにとって安心感を与える行為ですが、4歳以降も続けると歯並びや噛み合わせに悪影響を与える可能性があります。例えば、前歯が開いてしまう「開口」という状態や、発音や咀嚼に問題が生じることがあります。このような場合、優しく指しゃぶりをやめさせる方法をアドバイスいたします。親御さんと連携しながら、子どもの成長に合わせて適切な対策を取っていきます。
永久歯が生え始める時期の注意点
子どもが5〜6歳になると、前歯や奥歯が永久歯に生え替わります。この時期、永久歯は大きく、子どもの顎にまだ馴染んでいないため、歯並びが乱れることがあります。しかし、すぐに心配する必要はありません。歯が成長する力が顎を促し、自然と歯並びが整う場合が多いからです。適切な成長をサポートするため、定期的なチェックを受けることが大切です。
虫歯の発見方法
自宅で子どもの虫歯を見つけるのは難しいですが、特に注意が必要な場所としては「奥歯の溝」と「歯と歯肉の境目」が挙げられます。これらの箇所は、虫歯ができやすく、早期発見が困難です。定期的な歯科検診では、専門家がレントゲンなどを使って隠れた虫歯を発見し、早期治療に努めます。
小児歯科で行う予防治療
小児歯科では、子どもたちができるだけ虫歯を作らないよう、さまざまな予防治療を提供しています。例えば、奥歯の溝を埋めて虫歯を防ぐ「シーラント」や、歯の再石灰化を促進する「フッ素塗布」などが一般的です。これらの予防措置は、子どもの成長段階に合わせて行うことが効果的であり、定期的に続けることが推奨されます。
フッ素とは
フッ素は、むし歯予防に非常に効果的な成分で、歯のエナメル質を強化し、酸に対して溶けにくくする働きを持っています。特に初期段階のむし歯に対しては、フッ素が再石灰化を促し、むし歯の進行を防ぎます。フッ素は歯科医院での塗布が推奨されており、6ヶ月に一度の定期的な塗布が理想的です。日本ではフッ素塗布がまだ一般的ではありませんが、世界中で安全かつ効果的な方法として認識されています。
PMTCとは?
「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」とは、専門の器具を使って歯科医師や衛生士が行う徹底的な歯のクリーニングです。自宅での歯磨きでは取りきれないプラークやバイオフィルム、歯石を除去し、歯周疾患や虫歯の予防に効果的です。PMTCは定期的に行うことで、口腔内を清潔に保ち、健康を維持するのに役立ちます。
PMTCで得られる効果
歯周疾患の改善 | 歯頸部および歯肉縁下のプラークを完全に除去し、歯肉炎の症状を改善します。 |
むし歯の予防 | バイオフィルムを破壊し、プラークの再付着を防ぎます。 PMTCの目的は、このバイオフィルムを破壊することにあると言っても過言ではありません。 バイオフィルムは約3ヶ月で再生すると言われています。そのため、『3ヶ月に1回のPMTCが理想的』です。 |
審美性の向上 | ステイン(着色)を除去し、歯そのものの光沢を取り戻します。 |
歯質の強化 | 清掃時にフッ素入りジェルを使用するため、再石灰化が促進され、歯質の強化につながります。 |
定期検診の重要性
歯が生え始める時期から、3〜6ヶ月に一度の定期検診を受けることが望ましいです。定期検診では、虫歯や歯並びの問題を早期に発見し、必要な予防措置や治療を行います。また、年齢に応じた歯磨き指導や食生活のアドバイスも行い、長期的に子どもの口腔健康をサポートします。